HAMBURG? NEW YORK? part02

続きです。

鍵盤高さをスケールでチェック。
鍵盤深さも確認…..深い。
まずはベディングを確認。……..
ん?音がしない……アクションを引き出して目視確認。
張り気味のような、バラバラなような。
一旦、全部浮かせておいてから張っていく。
……..なんとか正常値に。
鍵盤高さと深さを確認……..ほぼほぼOKに。

次はやけに広いレットオフを修正。
ジャックの抜けがもどかしい。
戻りを修正してから、ハンマー運動量を調整にかかる。
………あれ、キャプスタンスクリューを廻しても
ハンマーヘッドが上がってこない)汗
………やっと動き出した!! 
これでなんとかタッチ調整が出来るようになる。
ここまで掛った時間は70分弱…….
残り時間は40分しかない。
まいったなと思いつつ調律を開始。

あっという間に残り時間は5分弱。
少しはアタックが出たけど、
これじゃあ絶対ダメ出しが出る状態。
ちょっとしたリカバリー作業をしているうちに、
ピアニスト現る…..)苦汗
挨拶もそこそこに、軽く弾いて貰ってご機嫌伺い。
「タッチはいいけど、音が沈んでる」との感想。
Excuseと少しだけ時間をと、
オネガイ・Please攻撃の甲斐もあり数分の猶予をGet!

作業終了後、急ぎリハーサル開始。
リハ開始直前に、
リハ終わりでもう少し手直し修正をお願いされる….
リハ中に店長に相談するも、
予算が無いので私のギャラは出ないとのこと。
でも、このまま帰っても気になって寝れそうに無い……
しゃーない、腹をくくるしかないなぁと
開き直りつつ、リハーサルを眺めたのでした…….

HAMBURG? NEW YORK? part01

とあるJAZZ CLUBのSteinway Pianoの調律。
楽器店さんからの頼まれ仕事で、
代打で初めて触るピアノ。
事前にNEW YORK製ですと伝え聞く。
シリアルNo.から推察すると、
製造は1900年代前半。
外装・弦・アクションも
サポート・ハンマーアッセンブリも新品に交換済み。

とりあえず弾いてみると………
なんだか不自然なタッチ感。
発音のタイミングが取り辛い、弾きにくい感じ。
出てくる音は沈んだ感じで
フォルテシモが出にくく、音量の幅が狭い。
「このままじゃ、絶対にピアニストから駄目出しがくるぞ……汗」

ピアニストはここ数年内で何度もお仕事をさせていただいてる旧知の間柄。
今日は、ナーバスかつ気合い入ってるPino TrioのNew Year Tourの初日。
ピアノの状態でイライラさせて機嫌を悪くさせては、
次からお声が掛からなくなる。
でも、時間は2時間しか無い…………

途方にくれる時間は無い、
考えるよりも手を動かさねばと気合いを入れる。
頭の中でタイムテーブルを考えながら、
どこに不具合の原因があるかをチェックする。
「…….こりゃまずい、ベディングが浮いてる…..
 レットオフは….
 サイレントでもついていたかと見紛うくらい広い……
 打弦距離は….
 クッションフェルトに完全に乗っかってる……汗」

間に合わさねばと焦る気持ちのまま、
作業に取り掛かる始める。

to be continued…….



OHHASHI DESIGN part2

ハンマーアッセンブリを新たに組み立てて、アクションに取付。
元々のハンマーヘッドと同じく、Renner製を選択。
シャンクは国産のトキワ製。
なにがなんでもドイツ製が良いとは思いませんが、
オリジナルに準じるのがセオリーだと考えます。

今回は数年前に購入した自動打鍵機をお客様宅に持ち込んで、
約6時間動かしました。
そして翌日に調律点検作業にお伺い。入念に作業。
新しいハンマーヘッドに交換するとやはり十分な弾き込みが必要になり、
そのためにこの自動打鍵機を頑張って購入しました。

思い切って購入して良かったなと確信出来るほどの効果を
感じることが出来ました。
音の輪郭もはっきりと出て、シフト時との音色差も綺麗に纏まります。
音の鳴りっぷりも良くなり、厚みが増すように感じることが出来ました。

このピアノの声はベヒシュタインに似てるなぁと、
調律をやりつつ感じていましたが、
作業終了後に先生に弾いていただくと、
それが確信だと思えるほど、
太く、それでいて優しい透明感のある音に驚嘆しました。

このサイズの「OHASHI DESIGN」は素晴らしい設計であると
痛感しました。

OHHASHI DESIGN part1

いつもお世話になっている先生の依頼で、
DIAPASON 210-Eの調律点検をさせて頂きました。

数年前、先生のご実家にあったこのピアノに出会いました。
先生の故母上が大事にしていたこのピアノ、調律をお願いされお伺いしました。
数年前に修理をしたとお聞きしていたのですが、これがまた驚愕の状態で……

ダンパー掛かりは約3ミリ、打弦距離は約40ミリ、鍵盤深さは10ミリ以上、
(技術者ならご想像がつくかと…..苦笑)
ピッチは半音下がり(弦交換をしてからしばらく調律をしていないため)、
その他もろもろ不具合がてんこ盛り状態…..
(よくこの状態で弾いていたなと悪い意味で感服したのを思い出します)

「この状態では調律点検をする以前の状態なので….」
ということで詳細に説明。
とりあえず、後日改めて1日時間をとって頂き調整と調律作業を実施。
しかしながら…….

この年代のアクション部ウイペンの設計は、
シュワンダー・タイプ(シングルスプリング)といって、
現在の主流であるヘルツ・タイプ(ダブルスプリング)より古い設計になっています。
にもかかわらず、現在の主流であるヘルツ・タイプのハンマーヘッドを取付けてあり、
元々の設計サイズとは寸法が違うので、部品の選択時点で間違い。
調整しても合うはずが無いことが発覚。
(この間違いは結構よく見かけます)

再度、先生に説明・話し合い。
ハンマーアッセンブリの交換で決着。

to be continued…….

2台のピアノ

2台のピアノを使ったコンサート。
いつも感じることですが…….
メーカーさんの違う2台を使用してする場合は非常に難しく感じます。
ピアノの声質が違うことに加え、
今回はY社(6型)とK社(7型)というサイズ違いのピアノ。
(K社ピアノは、この一年ほど使用されてない状態…..)

其々のピアノを近づけたいのですが、
簡易ステージに乗せる都合上、近づけるとステージ床が凹んでしまって、
ぐらぐらするので離さざるを得ない状況。
離して片方の大屋根を外すと弾き手にしっかりと音が聞こえにくくなり、
弾き手が出来るだけストレスなく演奏してもらうためにも、
今回は止むを得ず、両方とも大屋根をつけました。

厳しい条件下ではありましたが、
ピアニストさんにOKをもらえてホッとした仕事でした、ハイ。

2024年仕事始め

新年があけて最初のお仕事、「新春!南!吠える!」2日目。
大御所・有山じゅんじさんと、ローリングピアノマン・リクオさんのデュオ。
舞台スタッフやイベンターさん、事務所のスタッフと新年ご挨拶と近況雑談。
リクオさんに引き渡し確認後、退散。

久々の投稿になりますが、
今年の目標は、「コツコツ継続、丁寧に」。
がんばってみます。

Boston178入庫

Boston178 #131517が入庫しました。

弾いてみるとサイズに違和感を感じるぐらい、
現サイズより一回りは大きく感じるほどの
鳴りっぷりの良さに感動しました。
ライブハウスや音楽教室にはぴったりの感じがします。

これから分解調整と外装研磨を施して、
試弾していただけるよう頑張って作業します。